アメリカ中央軍は28日、シリアとの国境に近いヨルダン北東部でアメリカ軍の拠点が無人機による攻撃を受け、兵士3人が死亡し、少なくとも34人がけがをしたと明らかにしました。
攻撃を受けたのは「タワー22」と呼ばれるヨルダンの軍事施設内にある後方支援の拠点で、アメリカ陸軍と空軍のあわせておよそ350人が駐留しているということです。
バイデン大統領は声明を発表し、現在も情報収集中だとしたうえで「攻撃はイランが支援しシリアやイラクで活動する武装組織によるものだ」との見方を示しました。
そのうえでバイデン大統領はテロとの戦いをやめることはないとし「アメリカが決める時期と方法で責任をとらせる」として攻撃に対する報復措置を示唆しました。
パレスチナのガザ地区をめぐる情勢が緊迫化する中、中東ではアメリカ軍の部隊に対し無人機やロケット弾による攻撃が相次いでいました。
CNNテレビなどによりますと、去年10月にイスラエルとハマスとの衝突が始まってから、中東でアメリカ軍の兵士が敵からの攻撃で死亡したのは初めてだということで、地域の緊張が一段と高まることが懸念されます。
米軍“ヨルダンの拠点が無人機攻撃を受け 3人死亡25人けが”
アメリカ軍は28日、中東のヨルダンでアメリカ軍の拠点が無人機による攻撃を受け、兵士3人が死亡したと明らかにしました。アメリカのメディアは去年10月にイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの衝突が始まってから、中東でアメリカ軍の兵士が攻撃で死亡したのは初めてだと伝えていて、緊張が一段と高まることが懸念されます。
ヨルダン政府「無人機攻撃を非難する」
ヨルダンの国営テレビによりますと、ヨルダン政府は28日、声明を発表し「アメリカ兵3人が死亡し、複数人がけがをした無人機攻撃を非難する」としています。
そのうえで「ヨルダンは今後もシリアとの国境付近でテロや麻薬、武器の密輸対策にあたり、国家の安全を脅かすあらゆる者に徹底して対応する」と強調しました。
また、この攻撃でヨルダン軍の人的被害はなかったとしています。
米 バイデン大統領「われわれは 対抗する」
ヨルダンでアメリカ軍が攻撃を受けたことについて、バイデン大統領は28日、訪問先の南部サウスカロライナ州での会合で「われわれにとってつらい日だ。攻撃で勇敢な兵士3人を失った」と述べて黙とうしました。
そのうえでバイデン大統領は「われわれは、対抗する」と述べて、報復措置をとると明言しました。
イラン 攻撃への関与を否定
ヨルダンでの攻撃について、アメリカがイランの支援を受けた武装組織によるものだという見方を示したことを受けて、イラン外務省のキャンアニ報道官は29日、声明を出し「抵抗勢力はイランの指示を受けて判断したり行動したりしない」として、攻撃へのイランの関与を否定しました。
そのうえで「イランはガザの危機が始まって以来、パレスチナの人々に対するイスラエルの攻撃と、アメリカの全面的な支援により、地域で衝突が拡大するおそれについて警告してきた」として、緊張が高まっている責任はイスラエルやアメリカ側にあるとする考えを改めて示しました。
林官房長官「攻撃を強く非難 中東全体の情勢 緊張感持ち注視」
林官房長官は午後の記者会見で「攻撃を強く非難する。アメリカ政府と犠牲になられた方々、ご遺族に心から哀悼の意を表するとともに負傷した方々の1日も早い回復をお祈りする」と述べました。
そのうえで「本件が及ぼす影響を含めて中東地域全体の情勢について、高い緊張感を持って注視している。アメリカをはじめとする関係国と緊密に連携しながらガザ地区をめぐる事態の早期沈静化と地域の安定化に向けて外交努力を継続したい」と述べました。